"CYCLE STUDY" CHERUBIMトークショー

水曜定休日、ホリはランニングへ、高橋はサイクリングへ出かけました。

この日、東京サイクルデザイン専門学校と同系列である「専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪」に2020年から自転車メカニックコースが加わるということで、CYCLE STUDYと冠されたイベントが開催されました。

15時半からの「チタン合金ボルトの世界」のトークには間に合わなかったのですが、なんとか17時からのケルビム今野真一氏とサイクルスポーツ編集長である吉本司氏のトークショーには足を運ぶことができました。
1時間のトークショーでは少し時間が物足りないと感じさせるほど自転車談義は盛り上がり、あっという間に時間が過ぎていきました。
「自転車は軽い方がいいのか?」、「日本と海外の自転車事情の違い」、「クロモリフレームの今後」などなど、核心部に触れていくような話は楽しくもあり勉強にもなりました。
ケルビムという自転車に芸術性というイメージを持った人は少なくないかと思います。数々のショーモデルは通常では考えられないような造形をしたフレームを手がけてきたこともあり、その印象が先行している部分があるようにも思います。
しかしながら、それらは通常カスタマーのバイクで試すことは叶わないことを試すためのショーモデルであり、普段は「お客さんや選手の人達が気持ちよく走る事ができること」を最優先で考え、フレーム作りをしています。(もちろんアーティスティックな部分を求める人がいればそれにも応えてくれるでしょう)
今年のNAHBSで出展し、”Best Columbus Award”を受賞したAIRLINE。
例えばこのバイクはディスクブレーキの台座位置が少し上側に浮かされています。通常であればチェーンステイの上に直接ブレーキがマウントされるものが多いのですが、カーボンフレームを前提とした規格をそのまま落とし込むことは簡単そうに見えて簡単ではありません。

今までのスチールフレームと同様にチェーンステイのチューブをなるべくエンド付近まで伸ばしたこのフレームは、クロモリフレーム本来の性能を落とさずFlat mountのディスクブレーキを取り付けるようになっています。 
トークショーの後、少し踏み込んだ個人的な質問を今野さんにしてみました。「クロモリフレームは自由度が高いですが、選んだパイプで乗り味がおおよそ決まってくるように思います。そして選べる(流通している)チューブも種類はそれほど多くはないですよね?」と。

それを一蹴するように「そんなことはないですよ。驚くほどいっぱい種類があります。」と教えてくれました。単純に自分の知っている量が少ないだけでした。

乗る人の言うフレームの硬い、柔らかい、それに対するチューブアッセンブルは奥が深く、硬いはずのフレームを柔らかいと言ったり、その逆で柔らかく作ったフレームをよく進むと応えたり、人間の感性とフレームの実態が必ずしも一致しないものです。それなりに経験のある自転車乗りやビルダーであればそこまでは到達すると思いますが、ケルビムの今野さんは更にその先にいるような気がしています。 
どのパイプを使い、厚みの違いをどのように配置するか。既に出来上がっているバイクのそれらを検査するための機械もあるそうです。今乗っているバイクを測定し、じゃあ次はこうしましょうという事が出来る。BE SPOKEの最先端がケルビムにはあるような気がしました。

膨大な数のフレーム製作実績やテストをしてきた歴史もあり、もし自分がフレームを作る側に回るとしたらケルビムの今野さんの下で学んでみたいと強く思いました。自分が乗りたい乗り味のフレームを実現する上で、ケルビムが持っているデータと経験は世界的に見ても屈指のものがあるように思います。

マスプロダクションフレームはどちらかと言えば自分がフレームに合わせるような印象を持っています。対して、オーダーのBE SPOKEフレームは自分に合わせてフレームを作っていくものです。どちらが良い、悪いということはなく、自分の乗り方に合っているものを選んでいくことが理想だと思います。

そんな感じで今野さんと話しを聞いたり、話していたら新しいフレームが欲しくなりました。笑
彼の元で学んだ人達が増えることで、自転車を提供する側の人たちの質が徐々に向上していくのだろうなと感じます。

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