SRAM "AXS" を読む。

こんばんは、高橋です。
SNSで話題沸騰となったSRAMの新コンポーネント「eTap AXS(アクセス)」。
展示会で実物を見てきたので写真を見ながら振り返っていきたいと思います。
部屋の電気のオンオフも声だけで可能になったIoTが普及を始めている現代。
自転車はまだワイヤーを引っ張って変速する、言ってしまえば超アナログな変速方法は今でも過半数を超えています。

技術的にできないわけがない「無線式変速」。それを最初に市場に投じてきたのがSRAMの"eTap"です。

有線式変速でもワイヤーが切れてしまえば変速ができなくなってしまう。無線式変速も電池切れや電波が読まないトラブルが発生してしまえば変速できなくなってしまいます。
どちらにも良い所もあればデメリットもあるわけですが、メーカーのフラグシップとして相応しいだけの技術と情熱が"eTap"にはあるように感じました。 
一番話題を読んだのはパワーメーターと一体化してしまったチェーンリングでした。
QUARK製のパワーメーターは更に高精度化し+-1.5%の精度を誇り、左右差やケイデンスも測定が可能で、一番求めた部分はやはりトータルでの軽量化だったと思います。

チェーンリングはアウターとインナーを繋ぐボルト類は無く、大きな塊から複雑な構造で削り出し、変速時のチェーンリングのたわみを抑えつつも軽さを実現しています。
フロントの変速が悪い自転車は総じてチェーンリングの性能が悪いものだと経験から知っています。指で押しても変型が限りなく少なく、電動変速のパワーもしっかりと受け止める作りになっていました。

 1x12用のクランクセット。

チェーンリングの歯も形状変更され、泥詰まりに対して強くなったそうです。
スパイダーとクランクアームを止める部分も形状が新しくなっています。
TTやトライアスロン向けの1x12エアロチェーンリング。
確かにTTやトライアスロンでフロント変速が必要なシチュエーションは少ないかもしれません。
今ロードバイクを1x11で乗っていますが、軽量化や空気抵抗の削減などの側面から考えるとシチュエーションが限られている中では高い性能を発揮するように思います。

裏面。
AXSの肝となるのは12速のスプロケット。これによってワイドレンジかつクロスなギアレシオが実現されています。
トップギアが10TなのでSRAMのフリーボディ規格「XDR」が必須となっています。
スプロケットも削り出して作るのがSRAM RED。
1~11段目までをクロモリをブロックで削りだして作り、最後の12段目のみをアルミにしています。今回のチェーンリングにしても、ギアをブロックで削りだして作るSRAMはまさに変態と呼ばざるを得ないでしょう。
ディスクローターは過去のものと共通規格になっているそうなので、新旧どちらも使うことが可能です。
SRAM RED

シルバーだけど。
握りは大きすぎず小さすぎず良い塩梅です。レバーはリーチアジャストが可能なので指の短い人でもブレーキレバーに届きやすくなっています。
RED。シルバーだけど。
こっちは黒い。
RDもかなり優秀な印象でした。

バネの強さに頼ったチェーンテンションではなく、スプリング箇所にシリコンフルードを内蔵し、変速は軽快ながらもチェーンの保持は素早いというディレイラーになっています。
プーリーはセラミックベアリングで、下側のテンションプーリーのみX-SYNC(ナローワイド形状)になっています。ちなみに見えているプーリーボルトはチタン製ですね。
クランクはGXPでもBB30でもなく新しい「dub」という規格になりました。
28.99mmスピンドルになり、GXPの耐久性と剛性/軽量性に優れたBB30スピンドルの長所を持っているそうです。 
BBのラインナップは全てのフレームタイプで用意されるそうです。CHRISKINGなどの他社製は後から対応されると予想しています。

「AXS(アクセス)」の名は言葉の通り"接続"を意識したものになっています。
Bluetooth接続したスマートフォンのアプリケーションを介してコンポーネントに「アクセス」し、セッティングやバッテリー情報の確認、エラーチェックなどが行えるようになりました。

更に、ロードコンポーネントとMTBコンポーネントのミックスは密かに求められていながらも、オフィシャルに推奨されてこなかった背景もあります。そこが繋がったということは当たり前のようですがかなり衝撃的なような気もします。 
SRAM "eagle AXS"の展示会はまた来月。

夢を凝縮したようなコンポーネントだと思います。
決して価格の安いものではありませんが、開発した人たちが大きな熱意を持って開発されたものだということはよく理解できました。

「売れればよい」というような考えで劣悪な商品も多い時代ですが、こういった熱意のある製品は良いですね!

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シクロワイアードでの紹介記事も読み応え十分なのでオススメです。

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