PAS NORMAL STUDIOS主催
MIDSOMMER - THE LONGEST DAY
1年の中で最も日照時間の長い期間を利用して200km以上のライドに挑んでみようというStravaチャレンジが行われました。
今年「一緒にブルベ走りましょう」とお話していたお客さんと一緒にチャレンジすることにしました。残念ながら今年はほとんどのブルベは中止されている状況で、まだ初めてのブルベ参加には至れていない状況です。
お客さんからの提案で、大阪スタートのルートをお試しで走ってみることにしました。
200kmなので焦らず朝6時半集合。早くも陽が高い。
序盤の海岸線は多少のアップダウン。
海岸エリアを終える頃にはかなり気温も高まってきた。
海南のあたりから山間地帯に突入。信号も減って走りやすい。
上りの途中で自販機を発見して休憩。笑顔だが、疲労の色が強まる。
上りの後は下り基調。ルートはおよそ100km地点。半分。
ハンドルバーバッグにバッテリーと補給食、マスクと財布や工具などを忍ばせる。200キロということもあって、今回はサドルバッグなしでチャレンジ。
紀の川、気持ちの良い景色とは裏腹に今回一番の難関となりました。
向かい風と昼下がりの日差しに苦しめられました。コンビニもなければ自販機もなかなか見当たらないという。でも桃の直売所はたくさんありました。
紀の川を終えてひと段落。
帰りの海岸線、ゴールが目の前に迫って少しばかり足に力が戻る。
僕が生まれるよりもかなり前のツールドフランス。当然速さを競っているわけだが、スペアタイヤを身体に巻き付け、大抵のトラブルは自分の手で対処して走っていく。
現代、ロードレースはもっと競技として特化したものになっているけれど、サバイバルレースとしてのスタイルが今も"Brevets"の中で息づいているように思う。
Brevets(ブルベ)とは、タイムや順位にはこだわらず、制限時間内での完走を認定するロングライドのサイクリングイベント。
人との競い合いというよりも自分との戦いである。実際の所は体力というよりはペース配分やプランニングといった頭脳戦が占める要素が大きいようで、屈強な男子だけでなく女性にも人気?のジャンルとなっている。そして、意外と若者よりもそこそこ歳を重ねた人の方が早いタイムでゴールする傾向にあるという話も聞く。
自分の限りある体力を最大限活用し、可能な限りの対策やプランニングによって課せられた目標をクリアする。普通の生活だけでは絶対に味わうことのできない極限世界を味わうことができる。10代の時、何にしても不満が拭えぬ感情があって、払拭するように無我夢中で行けるところまで走った。その時のような"余計な感情が溶けていく"感覚を味わったことのある人は僕だけではないだろうと思う。
夕方18時半頃、まだ日が沈むには時間がある。沈み始めた夕日の中、200km完走。「もっとサクっと走り切れるつもりでいた」と語ったKさん。描いたイメージの走りができなかったかもしれないけれど、12時間も切っているしブルベを走るには十分なペース。
僕の目には、足に力が入らなくなってからも自分の限界に抗い続けるKさんの姿がとてもカッコよく映った。自分の中にあるものを全部絞り出した時のあの解放感は、走った人だけが得ることのできる特別な感覚。もっと多くの人がその感覚を知ってくれたらいいのになと思ったりする。
Road to nowhere.
その言葉に込められた感情は、認識しておらずともほとんどのサイクリストが持っているものかも知れない。進む先にトラブルがあるかもしれない。それでも構わない。乗り越えて、進むのだ。
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