SAUCE "POPCORN BUDDY"

漠然と、人間が最後に乗る乗り物は自転車なのではないか、と思ったりすることはありませんか。石油(ガソリン)、電気、水素などなど乗り物とエネルギーの関係は多岐に渡り、未来のことなど予測しきることは不可能なこと。そんな中で、SFの世界、荒廃した地球の中、人力で走らせることのできる自転車が遠い未来でも生き残っているなんてシーンがあったりすると、自転車好きとしてはなんだか嬉しい気持ちになったりするものです。
SAUCE CYCLE "POPCORN BUDDY"
フレーム&フォーク 165,000円~
※フレームをお好みの単色のソリッドカラーへ、ロゴをお好みの2トーンのソリッドカラーもしくはSAUCEトリコロールへの変更が可能です。

本日のご紹介は"ポップコーンバディ"!
こちらも1本ずつハンドメイドされるフレームセットとなっております。
受注後に生産を行うので納期は3ヵ月~という感じで、オーダーフレームさながらの納期ではございますが、その分「カラーオーダー」ができ、自分だけの1台を作り上げることが可能です。

じゃあオーダーフレームにすれば?という話もあるんですが、ジオメトリーのことまでは詳しくわかならいし、規格やタイヤサイズが欲しいものであれば十分という方も多い印象です。その上、走りはハンドメイドフレームそのものなので、セミオーダーくらいの感覚で思っていただけたらいいのかな、と思います。
1-1/8アヘッド コロンバス MAXフォーク

POPCORN BUDDY(略してPCB)は簡単に言うと700×32cが入るシングルスピード。 太めのタイヤが入るので街乗りクルーズにもぴったりなバイクです。
トラッククロスやFixedクリテリウムも視野に入れて、ブレーキは外しやすいリムブレーキ仕様(ロードキャリパー)にしました。 レースでの走りも意識してチュービングはカイセイ019で軽量に仕上げ、戦闘的なマックスフォークをセッティング。
ヘッドの規格は1インチと比べ少し重量が増しますが、1-1/8(オーバーサイズ)にすることで安心感とパーツセレクトの自由度も高くなってます。

制作は大阪の伝説的フレームビルダー橋口 清氏(EXTAR PROTON 橋口製作所)による美しいフィレット溶接によるものです。
シンプルなシートピンタイプを採用。出っ張りが少ないので、シートポストが長く出る効果も。

ボトルケージのマウントは、シートチューブ側のみに1箇所用意しています。

フレームのご紹介はそんなところにしておきまして、オーダーいただいた流れなどもご紹介しておきたいと思います。
今回はオンラインで遠方からのご注文でした。
メールでやり取りさせていただき、上記のカラーイメージでジオメトリーのカスタムはなしでというご依頼です。

今回は色コードでイメージを伝えていただき製作にあたりました。どうしてもモニターなどによって色味が異なるため、色の再現は一番難しいポイントなのですが、ご注文をいただいたオーナー様からもその点はご了承いただきペインターに委ねました。

そのやり取りさせていただいている中、オーダーをいただいたお客様のお名前が「野村 亮馬」氏ということに、どこかで見たことあるような気が・・・。

これだ!!そう気づいた時は少々動悸が激しくなりました。漫画好きの方、ご存知でしょうか?
プライベートな話は失礼と思いながらもお伺いしたところ、ご本人さまでした。
僕も漫画好きの端くれ、面白かった作品はやはり記憶に強く残るものです。物心ついた時から漫画は勉強させてくれたり、勇気づけてもらったり、感傷に浸ったり、とにかく色んな感情を揺さぶってくれるすごいもので、漫画家という職業には尊敬の念しかありません。
今自分が自転車に乗っていることも漫画(シャカリキ)の影響が多大にあり、人の人生に干渉し、原動力を与えることができるということはとにかくすごいなと思っています。

そんな野村氏の作品、上の「インコンニウスの城砦」も記憶にズバっと刺さっていた作品なのでした。面白い~と思っていた作品の作者さんからお仕事をいただくということに、思わずテンションが上がってしまった私でした。
第三惑星用心棒 (著)野村亮馬
29世紀、地球が人類の中心地ではなくなった時代。かつての紛争に投入されたロボットに対処するのもまたロボット。月面生まれの人型ロボット「エルシー」はそんな「用心棒」のひとり。働いて、歌って、おまけにメシまで食べる!遠未来アクション&リラックスSF。

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西暦が2882年、地球が無国籍・無国境状態というSF作品。未来なんだけど、すぐそこっていう感じがするちょっと先の物語。
野村氏の作品はどれも"設定"がリアルさを孕んでいて、ガンダムやスターウォーズといった作品を受け入れている自分からすると、普通にありえそうな妙にリアリティのある細かい作品設定は、読む人をぐいぐいと作品へと引き込んでいくように感じます。

設定に入り込んでいくのがSFの楽しみ方なのだと僕は思います。そこに没頭できるかどうか、より世界観を味わえるかどうかはそこに実際に存在しているかのようなイマジネーションを掻き立てられるものほど楽しめるように思います。(割と対照的なスポコン物もの好きですよ!)
例えばですけど、2巻の表紙や物語の中で主人公のエルシーは右足だけズボンの裾を捲ったりしているわけなんですが、なんでというと「自転車に乗る時にチェーンに巻き込まないように」だそうです。なんていうリアル。自分たちもいつも「裾がチェーンで汚れた~~」っていうような部分が、めっちゃ細かいところですが描写されています。漫画だからそこまで描き分けなくても通用する部分もあると思うんですが、そこにこだわるっていうところが、野村氏がファンを惹き付けるポイントなのかなって思う次第です。
そして、作中でエルシーが乗っている自転車。緑のシングルスピードの自転車。設定ではアルミフレームだそうですが、今回オーダーいただいた自転車そのものなのではないか、と思ってしまう程には近いものを感じます。
野村氏の"カッコいいな"と思ってるものが作中で表現され、更にそれが本当に具現化されてしまったのではないか、と。より細かい具体性を持ったビジョンほど現実になるって言いますよね。

29世紀までこのフレームが朽ちずに残る可能性は非常に少ないのですが、遇に時代を超えて残されるものもあったりするのがリアルの面白いところ。特に自転車はエネルギー不要で動かせる貴重な乗り物なので、形さえ残っていれば時代を問わず乗ることができます。
このフレームが、遠い未来でエルシーのような存在に受け継がれるかもしれない。現実的には起こらない可能性が高いものの、もしかしたら有り得るかもしれない。そんな風に考えると、結構楽しいですよね。

ありがとうございました。

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野村亮馬氏 Tumblr - MATOW BOOKS

第三惑星用心棒の第3巻、楽しみですね~。


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