デンマーク、コペンハーゲン発のサイクルアパレルブランド「PAS NORMAL STUDIOS」
Pas Normal Studiosの本拠地であるコペンハーゲンの街を歩けば、秀逸なデザインの建築や家具にすぐに出合うことができます。そして彼らの住まいに足を踏み入れば、白壁とそれに馴染むように誂えた冷蔵庫や食洗機があり、無駄なものは少なくミニマルでクリーン。しかし木目を要所に用い無機質とならない暖かみのあるデンマークならではの空間が演出されています。
創業の中心人物はピーター・マッズセンとカール・オスカー・オルセン。カールはPas Normal Studiosのウェア作りの哲学の一つをこう語ります。「Pas Normal Studiosはミニマルでシンプル、クリーンなダニッシュデザイン(デンマークのデザイン)が基本なんだ。それは僕たちデンマーク人のDNAに刻まれた美学だよ。そんなデザインの中にも機能をしっかりと詰め込んだ高品質なウェアをサイクリストに届けたいんだ」
自分たちのサイクリングコミュニティ用に作ったこのウェアは、やがてその外でも評判となります。そこで彼らは翌年の2015年にPas Normal Studios(パ・ノーマル・ストゥーディオス)を立ち上げるのです。特徴的なブランド名はカールが読んだアメリカの元プロ選手タイラー・ハミルトンの自叙伝に書かれた一文に由来するもので、「パ・ノーマル」とはフランス語で「普通じゃない」という意味。それは「今までのサイクルウェアにはないものを作る」という彼らの意気込みの現れでもありました。
Pas Normal Studiosのカラーはコーディネートしやすい黒や紺、濃緑などを基本としながら、街の景色や自然に馴染む鮮やかさを抑えた独特の色味が多いのも特徴です。「やっぱりライド後はコーヒーショップに立ち寄りたいだろう。そんな時にお店で浮いた存在にならないスタイルも大切だからね」と、ピーターは理由の一つをこう説明します。
デザインと並び、Pas Normal Studiosのもう一つのウェア作りの哲学となるのがフィット感
カールはこう言います。「普段の生活でスーツを着ることは正装だろ。それと同じで僕らにとってロードバイクに乗るときの正装といえば、プロレーサーが着るようなタイトフィットのウェアキットなんだ。でもプロチームのようなデザインは僕らの感性に合わないから、そこにミニマルでクリーンなデザインを合わせているんだ」
Pas Normal Studiosのジャージ類は他社の製品と比べるとフィット感がタイトです。しかし肌に吸い付くようなフィット感は、ライディングにおける窮屈さは微塵もありません。この仕立ては、ライダーの動きを妨げず高いエアロ性能を発揮するのはもちろんですが、プロレーサーのような精悍な佇まいをもたらすのです。それは彼らが求めて止まないロードライディングの美学において欠かせない要素なのです。
そのPas Normal Studiosのグループライド、初めて関西・大阪で実施しました。
いつものメンバー、チームキットで走るライドは確かに楽しい。けれど少し閉鎖的な面もあります。PNSのジャージに書かれた"INTERNATIONAL CYCLING CLUB"の文字があります。それは、これを着ている者は皆Pas Normal Studiosというコミュニティに属していることと等しくあります。常に新しい仲間が生まれていく、コミュニティという側面もありながらも非常にオープンな存在です。
今回集まっていただいたメンバーの半数少々は初めましてな方々でした。けれど、そこに壁は無く、同じウェアに袖を通しているおかげか不思議と"仲間"であると最初から感じさせるものがありました。
サイクリングは一人でも楽しいものですが、誰かと一緒に走るということもまた楽しいものです。その仲間はどこから出会っていくのだろうかと考えた時に、それは偶然なのかもしれないけれど、人が人を繋いでいくように感じます。更にPas Normal Studiosのような存在が加わることで、その精度はより高いものになるのだと思います。
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