2days Race in 木島平

この土日は長野まで行き「2days Race in 木島平」に参加してきました。
昨年までは木祖村という場所で行われておりましたが、土砂災害により同じコースが使えなくなってしまったため初めて開催された同レースの会場として使われていた木島平へ戻ったとの事でした。

2days Race in 木島平とは?
ロードレース競技者の中ではいわずと知れた人気のアマチュア自転車レースです。
しかし、ただの人気アマチュア自転車レースではなく、このレースの特徴はステージレースであること。
土曜2レース、日曜1レースの計3レースあり、各レースで完走できないと次のレースに出られないというルールで行われます。

海外のロードレース(ツールドフランスなど)はこのようなルールで行われますが、僕たちアマチュアのレースはほとんどが1日だけのワンデイレース。
2日間とはいえ、このようにステージレースを走る経験はなかなかできないのでお楽しみポイントが高くなっています。
もう一つの特徴はチーム戦であること。"アマチュア自転車レースにおけるチームって、あってないようなもんだ"と言われますが、この大会はチームでのエントリーが必須となります。
日本のロードレースのほとんどが個人競技となっていますが、この大会はチームでの協力を経験できる貴重なレースです。
本場ヨーロッパに習った様式を日本でも行い、いずれ海外へ出て行った選手が経験不足で泣きを見ることがないよう少しでも経験を積ませるというコンセプトで行われています。
表彰台でのシャンパンの振り方ひとつ、全ての振る舞いでレーサーとしての経験が問われるとオーガーナイザーは語っていました。
チームで一丸となり追い求めるもの
この大会には価値のあるリザルト(結果)が数パターン用意されています。これはツールドフランスとほぼ同じ内容で、チームや個人がどれを目指して動くかでレースの走り方が違ってくるので協力したり敵対したりという動きが発生していきます。

・個人総合優勝
個人タイムトライアル、土曜ロードレース、日曜ロードレースの3レース全てを通した総合タイムが最も速かった者がチャンピオンになります。

・スプリント賞
指定周回の着順で与えられるポイントを獲得し、そのポイント累計が最も多かった人。

・アンダー23賞
個人総合優勝と同じ形式で、23歳未満を対象としたもの。

・オーバー40賞
個人総合、アンダー23と同じ形式で40歳以上の人を対象としたもの。

・ステージ優勝/入賞
各レースでの着順で1~3位に入ったもの。

さて、出るなら何を狙いますか?
アンダー23
僕らSAUCE DEVELOPMENTのメンバーは昨年と同様にU23の選手に活躍してもらうことがターゲットとなりました。チーム5名の中でU23が白石、服平、今井の3名。
その中で、まず最初のレースで白石がチーム内でトップのタイムを出してU23で総合3位に入りました。
総合3位以上の成績であれば全日本選手権の出場資格が与えられるので、チームは彼の総合成績を求めることを決めて残りのレースに臨んでいきました。

個人タイムトライアルの後に軽い熱中症の状態になった今井選手はステージ1bの途中で脱落してしまいましたが、他の4名はメイン集団で展開。
11名の逃げが出来ていたので追走していく頑張りはチャレンジしていきましたが、チームメイトを逃げに送り込んでいるチームはそれを良しとしません。余程の地力が無ければそれらを跳ね除けていくことは難しいのがチーム戦となったロードレースの難しいところです。
(写真は2日目の残念レース/ジュニアレースを走る今井選手)

土曜日のレースの終盤、メイン集団の動きも活性化していき飛び出す選手もチラホラ出てきました。飛び出しが決まりそうな4名程の動きがあり、白石選手に「乗りたいか?」と聞いて答えはYES。僕が行くつもりでしたが、タイミング良く有益選手が白石選手を牽引してペースを上げていき先の4名の吸収に成功しました。
白石選手もかなり厳しい表情だったので「耐えろ!」と声をかけて彼の前に出て少しでも楽してもらえるようにサポートに回りました。
この動きからがキッカケでメイン集団にもそこそこのダメージが与えられたようで、集団の人数を少し減らすことができたのかなと思います。

僕と白石選手は集団内でゴール。レース終盤、力を使い果たした有益選手と服平選手は集団から脱落してしまいDNFの扱いとなりました。
(写真は2日目の残念レース/ジュニアレースを走る服平選手)

レース距離
国内のほとんどのレースはクリテリウムやヒルクライムばかりで距離を長く走るものは数少ないもので、SAUCE DEVELOPMENTが走るJBCFレースも距離は20~40kmがほとんどです。

この2daysRaceは距離の長さも魅力と難しさのポイントです。
個人TTのあとはロードレースで約80キロ、日曜日のロードレースは120キロあります。

普段それだけのレースを走りなれて居ないJBCFエリートカテゴリーの僕らはその距離に苦しめられる部分が大いにありました。土曜日のロードも平均時速約40キロのまま2時間です。

(STRAVAでログも見れますので参考までにどうぞ!)

レースの想定レベルはJBCFで言うところのJPT~E1程のレベルとなっています。
レースを走って実感したのは、やはり普段から高強度長距離に慣れているJPTカテゴリーの選手らと僕らE1~E3のメンバーとではベースとなる体力に差があるということでした。
2日目
ステージ2に駒を進めたのは39名の選手のみでした。SAUCEからは僕と白石選手の2名。チームによっては1名も残らなかったところもありました。

最も長い約130キロのロードレース。
U23の総合争いをしている選手を中心にマークしながら白石選手とあまり離れないよう意識しながら走りました。
前日のレースのダメージが残っている僕らはただ周回をこなすだけでも一苦労。サポートで帯同して頂いた石津カイロプラクティックの石津先生のおかげで、朝に不安感を感じていた二人の腰(背筋)の痛みはほぼ感じることなくレースを走ることができました。施術してもらいこれほど変化があるとは正直驚きました。
メイン集団で完走さえ出来れば白石選手の総合3位を獲得することができる。
しかし、集団内にはU23の総合争いをするメンバーが勢ぞろいしていて油断は出来ません。レースは逃げ集団とそれを追いかけるメイン集団という展開で淡々と進みました。
淡々と進むものの、JPTではない僕らにはかなりボディーブローが効いてくる距離でした。
38周回という長丁場で、半分ぐらいで僕はもう足が限界に近づいている事を感じていました。レースが2/3を終えた頃には白石選手から「補給食が余ってないか?」との申し出があったので残った2本のジェルを渡す。僕自身は残りのレースを補給なしで走ることになるのだけど、僕が多少生き残るよりも白石選手が少しでも上の順位でゴール出来ることが何よりも優先。些細な事で、とても微力なことだけどこれが"チームで走る"ということかなと思いながら走っていました。

足も無くなり、エネルギーも無くなり朦朧とする意識のなかでなんとか集団には食らい付いて走りました。
万が一メカトラとかがあったときに、一緒の集団内にいればホイールを提供することができる。多少でも風除けになれるタイミングが有るかもしれない。そんな"もしも"の保険のためだけに集団にしがみついていくのでした。

脚もつり、呼吸が安定しなくなりラスト7周回のあたりでついに集団から脱落。あとは白石選手の粘りに期待するのみとなりました。"チームメイトに託す"ということを今回ほど意識したことはありませんでした。
ラスト3周、集団は逃げグループを捕まえレースは振り出しに。そして最後の勝負で激化していきました。その途中で僕自身はラスト2周回を残してDNFとなりました。
残念ながら激化した展開の中で白石選手も着き切れずに単独となり、総合順位も5位に落ちる形となりました。
全日本の資格は取ることができず悔しい気持ちはありましたが、僕らは選手、サポート含めて出せるものは全て出し尽くしての結果だったのでやり切った気持ちで清々しかったです。

昨年参加した木祖村よりも"レース"と関わることが出来たのでとても面白くて濃い2日間でした。
そして初めてこのレースに参加した白石、服平、有益選手らも非常に強い刺激になったかなと思います。特に最後まで粘った白石選手の成長とモチベーションの高まりを見ていて期待をせずにはいられない気持ちです。

手短に済ませるつもりでしたが結局長くなってしまいました。お付き合い頂きましてありがとうございます。
"これがロードレースだ"と教えてくれる貴重なレースだと思います。競技者ならば是非一度チャレンジして欲しいレースです。

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他、写真を撮って頂いた方々、補給等お手伝いをしてくれた方、応援をしてくれた方々、本当にありがとうございました。

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